「今は人手不足だから転職しやすい。」そんな話を耳にしたことがあるかもしれません。

そう、電気主任技術者の求人は多い状況が続いています。
この人手不足は一時的なものなのでしょうか。
それとも、これから先も続いていくのでしょうか。

結論から言えば、少なくとも現時点では「数年で解消する」と考えられる状況ではありません。経済産業省の需給見通しでも、第2種・第3種電気主任技術者は2030年時点でも不足し、その後は人口減少の影響で需給ギャップがさらに拡大する可能性が示されています。

人が減っているのに、設備は増え続けている

電気主任技術者が不足している理由は、とてもシンプルです。
必要とされる設備は増えているのに、働く人は増えていません。

AIの普及によるデータセンターの建設、再生可能エネルギーの拡大、蓄電池(BESS)の導入、半導体工場への投資。さらに、老朽化した設備の更新も全国で進んでいます。

一方で、資格保有者の高齢化は進み、若手の担い手は十分とは言えません。

つまり、「設備が増えるスピード」と「技術者が増えるスピード」が合っていないのです。実際、近年はデータセンターや半導体工場の新増設によって電力需要そのものも増加に転じています。

ただし、「資格があれば誰でもいい」時代ではなくなっています

ここで一つ誤解されがちなこと。

人手不足だから、どの会社でも簡単に高待遇で採用される。そう思っていませんか?

そんな時代ではありません。企業が不足を感じているのは、「資格を持っている人」だけではなく、「すぐに現場を任せられる人」です。

受変電設備の経験がある。設備更新に携わったことがある。保安管理やトラブル対応の経験がある。当てはまっている人には朗報です。こうした実務経験を持つ技術者への需要は、年々高まっています。

求人は増えていますが、企業が見る目も以前より細かくなっています。

「まだ先でいい」と思っている間に差がつく

転職相談でよく聞くのが、「もう少し経験を積んでから考えます」という言葉ですが、その数年間をどんな会社で過ごすかによって、市場価値は大きく変わると思いませんか?

新しい設備に携わった人。データセンターや再エネ設備を経験した人。マネジメントや設備更新まで担当した人。

同じ三年間でも、積める経験は会社によってまったく違います。だから採用市場で差がつくのは、「経験年数」ではなく、「経験の中身」なんです。経験の棚卸しをしてみませんか?

これからは「選ばれる会社」も変わっていく

以前は、年収や勤務地が転職先選びの中心でした。

でも最近は、それだけではありません。

「新しい設備に挑戦できるか。」
「将来も需要が伸びる分野に関われるか。」
「10年後も市場価値が上がる経験を積めるか。」

こうした視点で会社を選ぶ技術者が増えています。実際、データセンターやBESSなどの成長分野では求人が増える一方で、企業側はより実務経験を重視する傾向も強まっています。

「不足している今」ではなく、「選べる今」が大切です

電気主任技術者不足は、しばらく続く可能性があります。
だからといって、「急いで転職したほうがいい」という話ではありません。
大切なのは、自分が企業を選べる立場にいるうちに、市場を知っておくこと。

資格があり、経験もある。

そんな今だからこそ、「どんな会社ならもっと評価されるのか」「どんな経験を積めば5年後の市場価値が高まるのか」を比較できます。

転職するかどうかを決める前に、一度、自分の市場価値を知ってみてください。「選択肢がある」という事実を知るだけでも、これからのキャリアの考え方は大きく変わるはずです。